財産分与の割合修正 ~夫が7割の事例~
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離婚に伴う財産分与は,婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産を離婚時に分けるものです。その財産の名義が夫婦のいずれであるかにかかわらず,財産分与の対象となります。
財産分与は,婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産を離婚時に分ける制度ですので,分与の割合については,財産形成,維持への寄与度によって割合を決めます。妻が収入を得ていなくても,専業主婦として夫の仕事に協力したとして,財産分与の割合を2分の1とすることが通常です。
しかし,夫婦の一方が有資格者で高収入である場合,そのような高収入を得られたのは自身の努力や能力によるところが大きく,財産形成の寄与度が高いとして,財産分与の割合が修正される場合があります。
例えば,
・夫:一級海技士の資格(国家資格。6段階の海技士資格のうち最上級資格) あり
1年のうち,6ヶ月から11ヶ月は,海上勤務
・妻:夫の海上勤務の間,一人で家事育児をしていた
という上記事例(財産分与対象額約7600万円)では,
夫が一級海技士の資格を取得したのは夫の努力によるものであり,その資格を活用し海上での不自由な生活に耐えた上での高収入であることを考慮して,妻の財産分与額は2300万円(財産分与割合は約3割)と判断されました(大阪高判平成12年3月8日)。

弁護士法人フロントロー法律事務所

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