財産分与の割合修正 ~夫が95%の事例~
〇この記事を読むのに必要な時間は約1分32秒です。
離婚に伴う財産分与は,婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産を離婚時に分けるものです。その財産の名義が夫婦のいずれであるかにかかわらず,財産分与の対象となります。
財産分与は,婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産を離婚時に分ける制度ですので,分与の割合については,財産形成,維持への寄与度によって割合を決めます。妻が収入を得ていなくても,専業主婦として夫の仕事に協力したとして,財産分与の割合を2分の1とすることが通常です。
しかし,夫婦の一方が高収入である場合,そのような高収入を得られたのは自身の能力によるところが大きく,財産形成の寄与度が高いとして,財産分与の割合が大幅に修正される場合があります。
例えば,婚姻期間中に約220億円の資産を形成した事例では,
・夫:一部上企業の代表取締役
約220億円の原資のほとんどが,夫個人の固有の 財産であった。
・妻:約15年間,経営者・財界人である夫の公私にわたる交際を妻として支えた
妻の経歴からすると,今後職業に就き,自身で収入を得ることは期待できない。
これらの事実から,約220億円は財産分与の対象とはなるが,妻が財産形成に寄与した割合が高いとはいえないこと,他方で,離婚の原因は夫にあること,今後の妻の生活保障の必要があること等を考慮して,妻の財産分与額が10億円(財産分与割合5%)と判断されました(東京地判平成15年9月26日)。

弁護士法人フロントロー法律事務所

最新記事 by 弁護士法人フロントロー法律事務所 (全て見る)
- 夏季休業期間のお知らせ - 2023年7月31日
- GW(ゴールデンウィーク)休業期間のお知らせ - 2023年4月13日
- 高所得者がおさえておきたい離婚時の財産分与のポイント - 2023年2月2日