離婚調停などで決まった養育費の支払いをしない場合
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離婚調停,審判,訴訟などにおいて,養育費の金額や支払方法が決まったにもかかわらず,支払義務者である相手方がこれを守らない場合に取ることができる手段があります。
一つは,履行勧告という制度です。相手方が取決めを守らないときには,家庭裁判所に対して履行勧告の申出をすると,家庭裁判所が,相手方に対し,取決めを守るように説得したり,勧告したりします。
この履行勧告の手続に費用はかかりませんが,義務者が勧告に応じない場合は支払を強制することはできないません。
次に,強制的に支払い実現する手段として,強制執行があります。
地方裁判所に,強制執行を申し立てることにより,地方裁判所が支払義務者の財産(不動産,預金債権,給与債権など)を差し押さえて,その財産の中から満足を得るための手続きです。
なお,養育費については,将来の分の差押えも可能です。
差押えは,通常の場合,支払日が過ぎても支払われない分(未払分)についてのみ行うことができます。
しかし,裁判所の調停や判決などで定めた養育費や婚姻費用の分担金など,夫婦・親子その他の親族関係から生ずる扶養に関する権利で,定期的に支払時期が来るものについては,未払分に限らず,将来支払われる予定の,まだ支払日が来ていない分(将来分)についても差押えをすることができます。
また,将来分について差し押さえることができる財産は,義務者の給料や家賃収入などの継続的に支払われる金銭で,その支払時期が養育費などの支払日よりも後に来るものが該当し,原則として給料などの2分の1に相当する部分までを差し押さえることができます(通常は,原則として4分の1に相当する部分までです。)。

弁護士法人フロントロー法律事務所

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