交通事故による損害保険金は,財産分与の対象となるか
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婚姻中に夫婦の一方が交通事故に遭った場合,交通事故による損害賠償金・損害保険金は財産分与の対象となるのでしょうか。
財産分与は,夫婦の婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産を離婚時に分ける制度です。
交通事故による損害賠償金の内訳としては,
・治療費や通院交通費のほか,
・交通事故がなければ得られたであろう利益(休業損害・後遺障害による逸失利益)
・慰謝料(傷害慰謝料や後遺障害慰謝料)などがあります。
交通事故による損害賠償金が財産分与の対象となるかどうかは,その損害項目ごとに分けて考えることができます。
傷害慰謝料や後遺障害慰謝料については,受傷者の精神的苦痛を慰謝するためのものです。したがって,夫婦が協力して形成した財産ではないため,受傷者である配偶者の特有財産となり,財産分与の対象とはならないと考えられます。
他方,休業損害や逸失利益は,交通事故による傷害がなければ得られたはずの利益が失われたという損害です。
これらの利益は,労働の対価と同じものとみることができ,それが夫婦が協力して得られたはずの利益であるといえる場合には,その損害に対する賠償金は夫婦の共有財産となり,財産分与の対象となる可能性があります。
夫婦の婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産といえるか否か,ケースによって異なりますので,弁護士にご相談下さい。

弁護士法人フロントロー法律事務所

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