不倫・浮気を理由とする慰謝料請求が認められるためには
慰謝料請求が認められる条件
配偶者が不倫・浮気をした場合,その不倫相手に慰謝料請求をするためには,主に,以下の要件(条件)が必要です。
1 配偶者と不倫相手が,婚姻期間中に肉体関係またはそれに類似する行為をしたこと
2 不倫相手が,婚姻関係があることを上記1の行為時点で知っていたこと
3 上記1の行為の時点で,夫婦関係が破綻していなかったこと
そのほか,慰謝料請求権が時効消滅していないことや配偶者から慰謝料の支払いを受けていないこと,なども必要です。
1.配偶者と不倫相手が,婚姻期間中に肉体関係またはそれに類似する行為をしたこと
配偶者と不倫相手が肉体関係やそれに類似する行為をしたことは,慰謝料を請求する側が立証しなければなりません。
通常,肉体関係があったことを直接証明する証拠などないことは当然です。
そこで,肉体関係があったことを推認できる事実や証拠が必要となります。
そのような事実や証拠は,一つではなく,複数の事実や証拠を積み重ねることで肉体関係があったと認められることになります。
不倫・浮気についての話合いを配偶者に内緒で録音してよいか
配偶者の不倫・浮気の手がかりを見つけたり,確証を得たりした場合,そのことを配偶者に確かめ,話合いをすることがあります。
この話合いの様子を,配偶者に告げずに,ボイスレコーダーやスマートフォンなどの録音機能を使って録音することは許されるのでしょうか。
配偶者との会話を録音する際に,配偶者の承諾をとる必要はありません。このような会話は重要な証拠になることがあるので,録音しておきましょう。
はじめは,不倫を認める発言をしていたのに,いざ調停になったら,不倫はしていないと前言を翻すことはよくあります。
また,話合いのときには,配偶者がその不倫相手に自分が結婚していることを伝えていたのか,不倫相手が知っていたのか,について,配偶者に話させるようにしましょう。
不倫相手の内心や認識の点については立証が容易ではないので,配偶者が認めている発言を録音したものは重要な証拠となります。
2.不倫相手が,婚姻関係があることを上記1の行為時点で知っていたこと
不倫相手が,配偶者が婚姻していることを知っているか,知り得たという場合でなければ,不法行為とはなりません。
たとえば,あなたの夫が,不倫相手の女性と交際を始めたけれども,夫は,自分が結婚していることを隠していたような場合には,不倫相手の女性は,不倫をしているという認識ではなく,独身男性と交際しているという認識しか持ちません。
そのような場合には,不倫相手の女性には責任を問うことができません。
ただ,不倫相手の女性が,注意すれば,その交際相手が結婚していることがわかったような場合には,故意はないけれども過失があるものとして,責任を負うこととなります。
不倫相手が,婚姻の事実を知っていたまたは知り得たということについては,慰謝料を請求する側が立証しなければなりません。
不倫相手の主観を,客観的な事実,状況などから立証することも必要な場合もあり,この点は,難しいことがよくあります。
それもあってか,不倫相手からは,「結婚しているとは知らなかった。聞かされていなかった」という言い訳,反論がよくでてきます。
しかし,直接的な証拠がない場合であっても,様々な事実や証拠を重ねることでこのような反論が認められないようにすることが可能な場合はあります。
3 上記1の行為の時点で,夫婦関係が破綻していなかったこと
配偶者の不倫相手に,慰謝料を請求した場合に,よくあらわれる反論(抗弁)が,「婚姻関係はすでに破綻していた」というものです。
最高裁判例は,「夫婦の一方と第三者が肉体関係をもった場合において,夫婦の婚姻関係がすでに破綻していたときは,特段の事情のない限り,第三者は夫婦の他方に対して不法行為責任を負わない。」としています。
婚姻関係が破綻しているかどうかは,夫婦喧嘩が多いことや,家庭内別居の状態であるというだけでは足りません。
物理的に別居している場合は,婚姻関係が破綻していると評価されることも多いですが,別居の原因,経緯,期間などにもよります。
不倫の時点で,夫婦の婚姻関係が破綻していたと認められた場合には,不倫相手は,責任を負わないことになります。
不倫・浮気を理由とする慰謝料請求
弁護士法人フロントロー法律事務所
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