離婚の財産分与で家を分ける際の注意点

離婚の財産分与で家を分ける際の注意点

婚姻中に購入した不動産・家・マンションは、基本的に離婚する際の財産分与の対象になります。

現金や預貯金であれば、「〇万円を夫が、〇万円を妻が受け取る」といったように分けることが容易ですが、土地の場合、このようにシンプルな分け方をすることは難しく、離婚時に揉めてしまうご夫婦も多くいらっしゃいます。

また、分け方のほかにも、ローンの取扱いや評価額、名義変更など、注意すべき点が多くあります。

 

家を財産分与する方法

マンションや家などの不動産を財産分与する方法は、主に以下の2つです

1. 家を売却し、現金化して夫婦で分ける

夫婦が結婚中に共同で得た財産は、夫婦の共有財産になります。離婚するときにスムーズに家の財産分与を行うのであれば、家を売却し、現金化してから夫婦で平等に分ける方法がおすすめです。

現金できっちり財産を分けられるので、トラブルが起こりにくいというメリットがあります。
しかし、現金化しようとしてもすぐには売れず、なかなか財産分与ができないおそれもあります。

とはいえ、2で紹介する住み続ける場合ですと、住宅ローンの処理など問題が発生する可能性があることから、双方が家を売却するということで意見が一致していれば、速やかに不動産仲介業者へ売却を依頼することが、早期解決に資するといえるでしょう。

なお、当事務所は、お客様の要望に応じて、大手仲介業者等様々な仲介業者をご紹介可能です。

2.一方が住み続ける場合は、評価額を夫婦で分ける

家を現金化せずに財産分与をする場合は、不動産を査定して現在の評価額を算出し、原則としては評価額の半分を分与することになります。

 

家を財産分与するときの流れ

家の財産分与を行う場合は、以下の流れで行われます。

  1. 家の名義人を確認する
  2. 住宅ローンの契約名義人と残額を確認する
  3. 現在の不動産の価値を査定する
  4. 親の援助など特有財産が含まれているか確認する
  5. 夫婦で話し合う

 

1.家の名義人を確認する

家を財産分与する場合は、まず夫婦のどちらが名義人になっているかを確認しましょう。一般的には夫名義になっているケースが多いですが、夫婦共有名義であるケースや、夫婦いずれかの親族の名義になっている場合もあります。

 

2.住宅ローンの契約名義人と残額を確認する

住宅ローンの契約名義と、ローン残額を確認しましょう。財産分与を行うときは、ローン残額次第で財産分与の結果が変わります。さらに、ローンの連帯保証人も確認してください。

場合によっては不動産の名義とローンの名義が異なるケースがあります。たとえば不動産は夫婦の共有名義であったとしても、ローンの名義人が夫の単独名義である場合もあります。

このような場合は、財産分与の割合を決める際に影響することになります

ローンの内容は、借り入れをしている金融機関に直接問い合わせると確認できます。お互いの認識を合わせるためにも、これらの内容は事前にしっかりと確認しましょう

 

3.現在の不動産の価値を査定する

次に、不動産の現在の価値を査定します。

不動産の価値は流動的であり、購入時の価格より上がることもあれば、下がることもあります。

そのため、財産分与を行う場合、現在の不動産の価値を元にして財産分与の額が決定されます。

 

4.親の援助など特有財産が含まれているか確認する

特有財産とは、「婚姻前から所有していた財産」と「夫婦の協力とは無関係に取得した財産」などです。

家の購入費用に、婚姻前の貯金を使った場合や、どちらかの親や親戚から援助があった場合などは、様々な考え方がありますが、その金額分を差し引いて財産分与額を計算したり、その売買代金額に対する援助の金額の割合を考慮して、財産分与額を計算したりします。

 

5.夫婦で話し合う

家の査定額を確認した次は、オーバーローンかアンダーローンかを確認します。

オーバーローンとは、ローンの残額に対し家の価値が低い場合です。

アンダーローンとは、ローンの残額に対し家の価値が高い場合です。

特にオーバーローンの場合には、売却額と住宅ローンの不足分を自己資金で相殺するか、任意売却をして残った残額を支払続ける必要があるため慎重に話合いましょう

通常オーバーローンの場合は財産分与をしないケースが多く、借りた人(ローンの名義人)がローンの支払を続けていくことが多いです。
それらを踏まえて財産をどのような割合で分けるのか、どちらかが住み続けるのか、などの詳細を夫婦で話し合い、決定する必要があります。

 

家を売却する場合の注意点

自宅を売却する場合、財産分与の方法は売却代金を2人で分ければよいのでそれほど複雑ではありません。

問題となるのは、そもそも売却できるかということです。

 

 

オーバーローンの際には、債権者である銀行等の承諾が必要です。

多くの場合には、貸付の際の契約書には、自宅の売却などの処分については承諾しないかぎり認めない旨の条項が記載されています。

 

そして、実際に銀行等は簡単には承諾してくれません。

そこで、オーバーローンの物件については、銀行等との交渉が必要となってきます。

 

なお、オーバーローンか否かは、築年数や立地等様々な条件によって異なります。そのためにもまずは不動産業者から査定をしてもらうことが先決です。

オーバーローンだった場合の対応

自宅不動産の離婚時(または別居時)の価値が、住宅ローンを下回る場合(オーバーローン)は、

①住宅ローンの支払いを継続し、自宅不動産はいずれかが住み続ける
②自宅不動産を売却し、売却代金を住宅ローンの返済に充て、残りの住宅ローンをいずれが負担するか協議する
の方法があります。

①の場合、自宅不動産に居住する人と住宅ローンの債務者が異なっている場合(例えば、住宅ローンの債務者は夫であるが、妻が自宅不動産に住み続ける場合)は、住宅ローンの支払いが滞ると、自宅不動産が差押えられ自宅を明け渡さなければならない事態を招くという問題もあります。今後、ローンの支払いをするのはどちらか。住宅ローンの債務者と実際の支払者が別の場合には、住宅ローンの組み換えができるか等、借入先に確認の上、協議する必要があります。また、離婚を機に、夫婦の一方が連帯保証人から外れたいという場合には、新たな連帯保証人を探したり、ローンの借り換えも検討する必要があります。

②の場合、残りの住宅ローンについては、支払いを続けなければなりません。その他の財産も含め、財産分与の方法を協議する必要があります。

家を売らないで住み続ける場合の注意点

家を売らないで住み続ける場合には、登記(名義変更)をしっかりと行いましょう。

登記をしていないと、もし妻が第3者に自宅を売却し名義変更をした場合に、夫はその第3者に自分が所有者であることを主張できないといった問題がおこります。

 

夫名義の場合で夫が自宅を取得する場合には、名義変更は不要ですが、ご自身の名義ではない、または共有名義の場合には必要となるので注意が必要です。

 

また、不動産の名義変更で注意が必要なのは、住宅ローンが残っている場合、債権者である銀行等の承諾がなければ名義変更ができない場合が多いということです。

 

 

財産分与をスムーズに進めるために

多くの場合居住不動産は夫婦の共有財産であり、2分の1ずつ財産分与をして決着となります。

 

路線価や固定資産評価額など一定の指標となる数字はあるものの、実際いくらで売れるかは売ってみないとわからないというのが実情であり、多くのケースでは売ることなく解決となるため、その「価値」は仮定の金額とならざるを得ないのです。

 

また、マンションや一戸建てなどの不動産は価格が大きいため、総額に大きく影響します。家・不動産を所有している夫婦は、ご自身のみで判断する前に、一度専門である離婚を数多く扱う弁護士に相談することをおすすめします。

 

離婚とお金の問題

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